KUSONEKOの見る世界

業務用無線AP AT-TQ7613を自宅用APとして購入してみた

自宅の無線APまでも業務用にしてしまいました。

自宅では、コンシューマー向け無線APをずっと使用していました。
仕事では業務用APを触っており、それと比べ、機能、安定性 共に劣る点が不満でした。

年度末に、自分へのご褒美として、業務用無線APを購入しました。

この記事では、業務用APが良い理由と設定内容、スループット測定結果を記載します。

業務用APが優れている点

業務用APは、機能と安定性が優れています。

まず安定性としては、長時間使用していても不安定になりません。
時間経過によってなぜかクライアントが接続できない現象に出くわすことがありません。(あっても修正される場合が多い)
これの切り分け時間や、無線APの再起動が不要になる点が大きいです。
無線APを再起動することで、家中にIoTを含む全ての無線クライアントが切断されるため、あまりやりたいことではありません。

他に、接続クライアント数の上限が高いことも重要です。
最近では、IoT機器が増えてきており、Switchbot、ドアホン、エアコン、空気清浄機、調理器具、冷蔵庫までも繋がってきており、接続台数が増加し、IoT機器に主に使用される2.4GHzが逼迫してきています。
これらを捌くには、業務用である必要があると考えています。
機能面とも関わってきますが、11bのレガシーなデータレートを無効化することで、無線を効率的に使用することができます。

機能面としては、有用な多数の機能がありますが、特に以下を挙げたいと思います。

  • データレート変更
  • 11b無効化
  • VLAN
  • SSID内クライアント分離

VLANについては、セキュリティ面でIoT機器に不安があるためです。PC、スマホ、サーバが接続するセグメントと分けることができます。

SSID内クライアント分離は、コンシューマ向けでもありますが、全てのSSIDが対象になってしまう製品が意外とあるためです。

これらの面で業務用APに価値があると考えています。

AT-TQ7613を選んだ理由

まず、キャンペーン期間中だったということもありますが、他社の業務用APに比べ、元々安めです。

他にも、仕事で触ったことがあったこと、ACアダプタで動作できることも理由です。

なぜACアダプタが良いのかと言うと、今回10GBASE-Tでの接続になりますが、これの消費電力、発熱が多く、PoEインジェクターで接続すると、10Gでアップする部分が2箇所増えるからです。
それなら最初からACアダプタで良いと考えました。
PoEスイッチに買い換えるほどの予算はありませんし、PoEはファンがうるさいことが多いです。

他社の業務用APと比べ、劣る点としては、SSID毎に有線側へ送信するVLANタグ内のCoS値を変更できない点、CLIで設定できない点、設定変更すると適用まで待たされ、無線が切れるなど。

まあ一回設定してしまえばいいと考え、価格面で選びました。

設定内容

設定方針としては、以下です。

  • 2.4GHzは、多数のIoT機器を接続するため、通信効率と安定性が高くなる設定とする
  • 5GHz、6GHzは、PCやスマートフォンを接続するため、スループットを優先する設定とする
  • IoT機器間の通信は禁止
  • MLO用のSSIDを設定しておく


基本設定

設定 > システム > LED
設定項目 設定値 理由
エコモード 有効 省電力のため


設定 > MLOネットワーク > MLO0
設定項目 設定値 理由
ステータス 有効
Partner Radios 無線2、無線3
Partner VAP VAP4
MLO VAP設定
設定項目 設定値 理由
SSID **** ご自由に
モード WPAパーソナル
WPAバージョン WPA3
暗号スイート CCMP and GCMP
キー ******** ご自由に
ブロードキャストキー更新間隔 86400

無線LAN設定

設定 > 無線LAN > 基本設定
設定項目 設定値
無線1
設定値
無線2
設定値
無線3
理由
ステータス 有効 有効 有効
モード IEEE 802.11b/g/n/ax IEEE 802.11a/n/ac/ax/be IEEE 802.11ax/be
チャンネル 自動 自動 自動
使用帯域幅 20 MHz 160 MHz 160 MHz 2.4GHzは干渉を避けるため。
5GHzはスループットのため。
6GHzは320MHzの効果が見られなかったため。今後対応機器が増えた際は変更。
チャンネル候補 1, 6, 11 全て 全て
送信出力 最大 最大 2.4GHzはかなり飛ぶため弱める


設定 > 無線LAN > 詳細設定
設定項目 設定値
無線1
設定値
無線2
設定値
無線3
理由
最大ステーション数 500 500     500 デフォルト値
無線クライアントの分離 無効 無効 無効 周波数レベルでは無効にし、IOTのSSID内で有効にするにする
近隣AP検出 無効 無効 無効 近隣のAPが少ないため、無効。
RTSしきい値 2347 2347 2347 デフォルト値
レガシーレートセット 54, 48, 36, 24 54, 48, 36, 24 -2.4GHzは、11bのレートを無効。24以上を必須とする。
マルチキャスト送信レート     24 24 24 通信効率と安定性を考慮し、24に設定。
エアタイムフェアネス 手動 無効 無効 2.4GHzのみSSIDが2つあるため、手動で設定
バンドステアリング 無効 無効 無効 振り分けは不要であるため
MU-MIMO 有効 有効 有効
OFDMA 有効 有効 無効 2.4GHz, 5GHzは多数のクライアントが通信するため有効。6GHzはクライアントが少ないため1台当たりのスループットを優先するため無効。今後接続台数が増えたら変更。
Zero Wait DFS - 無効 -

PC、スマートフォン等信頼している機器用SSID設定

設定 > VAP/セキュリティー > バーチャルアクセスポイント 信頼する機器用SSID
設定項目 設定値
無線1
設定値
無線2
設定値
無線3
理由
ステータス 有効 有効 有効
モード アクセスポイント アクセスポイント アクセスポイント
SSID **** **** **** ご自由に
VLAN ID 1 1 1
SSID隠蔽有効 有効 有効 有効
Passpoint 無効 無効 無効


設定 > VAP/セキュリティー > セキュリティー 信頼する機器用SSID
設定項目 設定値
無線1
設定値
無線2
設定値
無線3
理由
モード WPAパーソナル WPAパーソナル WPAパーソナル
WPAバージョン WPA2 WPA2 and WPA3 WPA3 2.4GHz、5GHzにはWPA3に対応しない機器があるため
暗号スイート CCMP CCMP and GCMP CCMP and GCMP
キー ******** ******** ******** ご自由に
IEEE802.11w (MFP) 利用可能 利用可能 必須
ビーコン保護 - 無効 有効
ブロードキャストキー更新間隔 86400 86400 86400


設定 > VAP/セキュリティー > 詳細設定 信頼する機器用SSID
設定項目 設定値
無線1
設定値
無線2
設定値
無線3
理由
無応答端末切断タイマー 300 300 300 デフォルト値
多重接続要求 切断する 切断する 切断する デフォルト値
ローミング通知 無効 無効 無効 APが1台しかないため不要
プロキシARP 有効 有効 有効 無線トラフィックを減らすため
DTIM間隔 1 1 1 デフォルト値
無線クライアントの分離 無効 無効 無効 セキュリティのため
エアタイムの割当率 50 - - IoT通信時間が多く、PC・スマホ用SSIDの通信を確保するため
マルチキャストをユニキャストに変換 有効 有効 有効 通信効率を上げるため
BSS Transition Management 無効 無効 無効 サポート外のため触ってはいけない


IOT機器用SSID設定

設定 > VAP/セキュリティー > バーチャルアクセスポイント IOT用SSID
設定項目 設定値 理由
ステータス 有効
モード アクセスポイント
SSID **** ご自由に
VLAN ID 128
SSID隠蔽有効 有効
Passpoint 無効


設定 > VAP/セキュリティー > セキュリティー IOT用SSID
設定項目 設定値 理由
モード WPAパーソナル
WPAバージョン WPA2 WPA3に対応しない機器があるため
暗号スイート CCMP
キー ******** ご自由に
IEEE802.11w (MFP) 利用可能
ブロードキャストキー更新間隔 0 更新時に切断される機器があるかもしれないため。IOT用セグメントはセキュリティレベルを下げても良い設計。


設定 > VAP/セキュリティー > 詳細設定 IOT用SSID
設定項目 設定値 理由
無応答端末切断タイマー 300 デフォルト値
多重接続要求 切断する デフォルト値
ローミング通知 無効 APが1台しかないため不要
プロキシARP 有効 無線トラフィックを減らすため
DTIM間隔 1 デフォルト値
無線クライアントの分離 VAP内 セキュリティのため
エアタイムの割当率 50
マルチキャストをユニキャストに変換 有効 通信効率を上げるため
BSS Transition Management 無効 サポート外のため触ってはいけない


スループット

LAN内で有線LAN端末とのiPerf3で測定を実施しました。

AT-TQ7613 iPerf スループット測定(6GHz)

ダウンロード アップロード
Windows Qualcomm FastConnect 7800
(320MHzで接続、リンク速度:5764.8Mbps)
1.6 Gbps
1.9 Gbps
MacBook Pro M3 Pro
1.2 Gbps
1.2 Gbps
iPhone 16 Pro
1.5 Gbps
1.7 Gbps


AT-TQ7613 iPerf スループット測定 MLO(5GHz + 6GHz)

ダウンロード アップロード
Windows Qualcomm FastConnect 7800
(320MHzで接続、リンク速度:5764.8Mbps)
1.5 Gbps
1.4 Gbps
iPhone 16 Pro
1.5 Gbps
1.7 Gbps

iPhone 16 Proは、Wi-Fi 7対応ですが、MCSインデックスが11までのため、Wi-Fi 6EのAPを使っていたころの結果と変わりませんでした。

また、MLOを有効にしても二つの帯域を同時に使用する訳ではない(EMLSR)ため、速度アップ効果はありません。

トラブル

同APの別VLANのSSID間で通信ができない

IoT SSIDに接続されているATOMCamに、PC・スマホ用SSIDからTCP接続ができない。
Pingは通るが、PCからATOMCamへHTTP接続の際のTCP Syn、Syn Ackまでは通るが、PCからのAckがATOMCamへ届いていない。もちろん、別VLANでルータを経由するため、無線クライアントの分離の影響は受けない。途中のスイッチで通過していることをキャプチャで確認。
有線PCからの接続はできるため、APの処理の問題と思われる。

最後に

出費としては大きかったですが、APを減らせた点、本文には書いていませんが切断された際のReason Codeを確認できる点、ログが残せる点が良かったと思います。
個人的には、Atermで繋がらなかったScanSnapが繋がった点が嬉しい。

Wi-Fi 7の目玉機能のMLOの効果は、EMLSRでは体感できるものでは無いと思います。干渉が増えた際に切り替えたり、家に帰った際にサービスエリアの広い5GHzで認証しその後6GHzに切り替わるなど、ユーザーに見えない所で効果があるかも知れません。

今回、APがWi-Fi 7になるため、Macbookも対応製品に買い換えようと考えていました。
しかし、MacbookのWi-Fi 7はN1チップが使われ、MCSインデックス11までで高速化の恩恵を受けられないこと、現状モニターモード(スニファモード)に対応していないので、結果的に買わなくて良かったです。
(802.11フレームをキャプチャしない人にとっては問題ありません。)

iPhoneの方もまだMSCインデックス11までなので、Wi-Fi 7の恩恵はあまり無いと思います。
ただMLOは使えますので場面によっては、価値があるでしょう。

予算がある方は、他の業務用APで良いのではと思います。

KUSONEKOの見る世界のAmazonページ

www.amazon.co.jpでKUSONEKOの見る世界のおすすめ商品をお買い求めください。KUSONEKOの見る世界のお気に入り商品について詳しくはこちら。